先日、ウィーンの支社の方とスカイプ通話する機会がありました。
初めは英語で出たものの、向こうが、
「ドイツ語でもいいですか?」
とおっしゃるので、仕方ない。
「はい。ではドイツ語にしましょう。」
彼のドイツ語はオーストリアアクセントの標準ドイツ語。
慣れないと、わかりにくいんです、これが。
でも集中して聞いているうちに、会話もスムーズになってきてホッ。
オーストリアのドイツ語はスイスのドイツ語とちょっと似ているように思います。
一番苦労するのは、ドイツ人がしゃべる標準ドイツ語。
特にベルリン、北ドイツから来たドイツ人のドイツ語は早くてわかりません。
以前ベルリンのドイツ人とスカイプ通話した時、
「すっかりスイスジャーマンをしゃべるようになったねえ。」
と言われ、びっくり。
私は標準語しゃべっているつもりですが……
スイス人がしゃべる標準ドイツ語を聞いて、ドイツ人はそれをスイスの方言だと思っていた、という話がありますが、そういうことですね。
スイスで話されるドイツ語の方言、スイスジャーマンは、標準ドイツ語とは方言の域を超えるくらい違いがあります。
スイスドイツ語圏の人たちはドイツで使われる標準語を学校で習いますが、実際に日々おしゃべりするのはスイスジャーマン。
会議などの時は、
「今日はhoch deutsch(標準ドイツ語)?それともschweizerdeutsch(スイスジャーマン)?」
などと聞かれることもあります。
スイス人でも、標準ドイツ語を話そうとすると、ちょと違うので緊張するそうです。
スイスドイツ語圏に移住して20数年。
スイスジャーマンに初めは苦労しましたが、今はすっと耳に入ってきて、ドイツ人との標準ドイツ語会話に戸惑ってしまう、困ったもんです。
でも、仕事をして日々思うこと。
スイスでよかった。
これがドイツやオーストリアだったら、もっと完璧なドイツ語文法ができないと、お仕事もできないでしょう、きっと。
私の怪しいドイツ語では、採用してもらえなかったかもしれません。
もともとフランス語、イタリア語、ロマンシュ語が加わって、ドイツ語を入れて4か国語を国語とするお国柄、そしてその一つドイツ語の中でも色々な方言が地方によって変化する国、スイス。
言葉には寛容です。
「ちょっとわからないので、英語でもいいですか?」
と言っても、OKなスイスの職場。
もともと同じスイス人同士でも、フランス語やイタリア語圏の人とのコミュニケーションは、ほとんど英語でしています。
以前フランス語圏の支店の職場仲間からお電話をいただいた時、
「フランス語でいいですか?」
と聞かれ、あわてて、
「フランス語はできないんです。英語かドイツ語でいいですか?」
と聞いたら、
「あなた、学校のフランス語の授業は寝てましたね。」
と言われ、大笑いしたことがありました。
うーん、言葉って大変。